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曇天に花の散りゆく Flowers fall on a overcast

  • sotonoin
  • 3 日前
  • 読了時間: 1分

きみが虚ろな目でぼんやり空を見ているとき、


なんと声をかけたらよいだろう。


なんと、声をかけても、仕方がない


ような気もした。


そんなことを考えていたら、


目の前を通り過ぎてゆく


黒い電線


烏のはばたき


田園の風景


枯れ草の一本


景色のすべてが静止してしまった。


白と灰色だけの空


その下方に見えた雲。


" なんかあの辺だけ雲が変だね。 "


独り言のようだった。


紙に擦った墨の跡みたいな細長い雲。


この空とおんなじ色したイヤホンつけて


貝殻みたいに目を閉じたきみは、


今日は何処かへ出かけているのだろう。


       |


ひと眠りしてきみは戻ってきた。


灰色は過ぎ去り


風に押されてかたちを変えてゆく雲と雲の間をすり抜けながら陽光が差し込みはじめる。


丘の向こうには


桜と見紛う満開の白梅が


風に吹かれながら花を散らしていた。




"春は再生の季節なんだ。"









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