迷い家 Mayoiga
あなたのおかげで
いやいや、それはあなたの力よ
そんなそんな
いやいや‥
と
押し合いへし合いにつかれて
ため息も溢さずに
細ばむ目の跡
頭に残るから
やめてくれ。
この世でわたしのことを解っているのは
たったの私、ひとりだけ。
そう決めつけてしまいそうなほどに
塞ぎ込んでいるときに
手招きをする
狭き通路はあって、
朝でも夜でも変わりばえのない薄暗さで
粉々になったガラス片に生息する苔と湿ったコンクリートの道が続いていて
息を吸うとつめたくて
古い木の香りがする。
それがいまはどうしようもなく心地よく
買ったばかりの靴の白さも気にかけず
一歩、一歩と足早になって進んだその奥に
異様な青草の香り。
しゃがみ込み
ハコべを乱雑にむしるのは見知らぬ少女
"なにがほしい?"
いずれは帰らないといけないのは
どうやってもわかるから
"いまはここにいてもいい、という言葉だけ。"
少女はまたしゃがみ込み
"はい、どうぞお一人で。"
青に散乱する青はどこまでも青し。
